建設業許可と電気工事業法

電気工事業法の目的

電気工事業法の担当所管は経済産業省です。その目的は、電気工事業を営む者の登録及びその業務の適正な実施を確保し、もって電気工作物の保安を確保することです。

 

また、その適用範囲は、一般電気工作物及び最大契約電力500kw未満の自家用電気工作物を取り扱う電気工事業者に適用されます。

 

そのため電気工事業を始めようとする法人、個人は、都道府県知事又は経済産業大臣に登録・届出・通知をする必要があります。

 

※電気工事業とは

電気工事を有償・無償を問わず、反復・継続して他の者から依頼を受けた電気工事を実施することを言います。

建設業許可との関係

電気工事業法の他に同じく工事を規制するものとして、建設業許可があります。

建設業許可の担当所管は国土交通省で、その目的は、建設工事の適正な施工の確保と発注者の保護を目的としています。

 

電気工事業法と建設業法ではその担当所管や目的が異なります。

そのため建設業法の「電気工事」や「電気通信工事」の建設業許可を持っていたとしても、電気工事業法での登録等は必要です。

電気工作物の種類と電気工事士免状別の電気工事の範囲

電気工事とは

「電気工事」とは、電気工事士法で規定する一般用電気工作物又は自家用電気工作物を設置し、又は変更する工事を言います。

電気工作物と電気工事士免状別の電気工事の範囲

電気工作物
事業用電気工作物 一般用電気工作物
電気事業用電気工作物 自家用電気工作物
電気事業者の発電所、変電所など  工場等の需要設備以外の発電所など 需要設備 一般住宅や小規模な店舗、事業所等の電圧600V以下で受電する場所の配線や電気設備
最大契約電力500kw以上のもの 最大契約電力500kw未満のもの
必要な電気工事士資格 第1種電気工事士

第1種電気工事士

第2種電気工事士

一般用電気工作物の具体例

一般家庭、商店、小規模事業所等の屋内配線等、家庭用太陽光発電・燃料電池発電の小出力発電設備。

自家用電気工作物の具体例

  • 6KⅤの高圧、又は20KⅤ、60KⅤの特別高圧で受電する工場、事務所ビル、学校、病院、ホテル、スポーツ施設などの事業所が該当します。
  • 100Ⅴ又は200Ⅴの低圧受電の病院や銀行などの事業所が停電に備え発電機等を設置する場合、その出力が50KW未満の太陽光発電設備、20KW未満の風力発電設備・水力発電設備、出力10KW未満の内燃力を原動力とする火力発電設備(例えばディーゼル発電機など)以外の発電設備を有するものは自家用電気工作物になります。

電気工事業の届出

届出区分

電気工事業の届出区分には、施工する電気工作物の種類と建設業許可の有無によって、次の4種類に区分されます。

  1. 登録電気工事業者
  2. みなし登録電気工事業者
  3. 通知電気工事業者
  4. みなし通知電気工事業者
区分 建設業許可の有無 手続区分 施工する電気工作物
登録電気工事業者 無し 登録申請 一般用電気工作物
みなし登録電気工事業者 有り 開始届出
通知電気工事業者 無し 開始通知 自家用電気工作物
みなし通知電気工事業者 有り 開始通知

登録電気工事事業者の登録の有効期間

登録電気工事業者の登録の有効期間は5年です。

登録の有効期間が満了するまでに更新の登録を受けることで、引き続き電気工事業を営むことができます。

大阪府の場合、更新の登録申請は、有効期間満了の日の2か月前から受付を行っています。

 

また、みなし登録電気工事業者及びみなし通知電気工事業者は、建設業許可を更新するたびに変更届(通知)を提出する必要があります。

電気工事業者の登録申請先

営業所の所在地により次の通り申請・届出・通知をします。

また電気工事開始届及び開始通知も次の区分により届出、通知をします。

 

営業所の所在地 申請先
一つの都道府県にのみ営業所がある場合 都道府県知事 
二つ以上の都道府県に営業所がある場合 経済産業大臣(又は産業保安監督部長)

※営業所とは

電気工事の施工の管理を行う店舗であれば、本店、営業所、出張所などの名称は問わず、営業所に該当します。

逆に電気工事の契約の締結、管理等のみを行い、具体的な電気工事の施工の管理を行っていないような施設等は営業所には該当しません。

登録申請手数料

1 登録電気工事業者・新規登録申請

法人・個人を問わず22,000円(証紙)

 

2 登録電気工事業者・更新登録申請

法人・個人を問わず12,000円(証紙)

 

みなし登録電気工事業者・通知電気工事業者・みなし通知電気工事業者に関しては、手数料は不要です。

電気工事業者の義務

主任電気工事士の設置

一般用電気工作物の電気工事を行う営業所ごとに、電気工事作業を管理させるための主任電気工事士を置かなければなりません。

 

※主任電気工事士とは、第一種電気工事士又は第二種電気工事士の免状の交付日以降3年以上の実務経験を有する第二種電気工事士のことを言います。

測定器具の備付

 一般電気工作物の工事のみを行う営業所

  1. 回路計(抵抗、交流電圧測定可能なもの)
  2. 絶縁抵抗計
  3. 接地抵抗計

 

一般電気工作物・自家用電気工作物の工事を行う営業所

  1. 回路計(抵抗、交流電圧測定可能なもの)
  2. 絶縁抵抗計
  3. 接地抵抗計
  4. 低圧検電器
  5. 高圧検電器
  6. 継電器試験装置
  7. 絶縁耐力試験装

 

標識の掲示

営業所及び2日以上にわたり電気工事を行う施工場所ごとに、電気工事業者であることの標識を掲げなければなりません。

帳簿の備付

営業所ごとに次の事項を記載した帳簿を備え、5年間保存しなければなりません。

  1. 注文者の氏名又は名称及び住所
  2. 暖気工事の種類及び施工場所
  3. 施工年月日
  4. 主任電気工事士等及び作業者の氏名
  5. 配線図
  6. 検査結果

電気用品の使用制限

電気用品安全法に定める所定の表示が付されている電気用品でなければ電気工事に使用してはならない。

電気工事の従事制限

  1. 第一種電気工事士でない者を自家用電気工事の作業に従事させてなならない
  2. 第一種電気工事士又は第二種電気工事士でない者を一般用電気工事の作業に従事させてはならない
  3. 電気工事を、電気工事業法にいう「電気工事を営む電気工事業者」でない者に請負わせてはならない

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